3Dプリンターの素材(フィラメント)は種類が多く、最初はどれを選べばいいか迷いがちです。 素材によって強度・耐熱性・柔軟性・印刷のしやすさがまったく異なります。
迷ったらまずPLA。 実用品はPETG、柔軟パーツはTPU、という3つを覚えておけば大半の用途に対応できます。
素材一覧比較表
| 素材 | 印刷難易度 | 強度 | 耐熱性 | 価格(1kg) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| PLA | ★☆☆(易) | 普通 | 低(〜60℃) | 1,500〜2,500円 | 試作・インテリア・フィギュア |
| PLA+ | ★☆☆(易) | 高め | 低(〜65℃) | 2,000〜3,000円 | PLA強化版・実用品 |
| PETG | ★★☆(中) | 高い | 中(〜80℃) | 2,000〜3,500円 | 実用品・ドローンパーツ |
| ABS | ★★★(難) | 高い | 高(〜100℃) | 2,000〜3,000円 | 工業部品・高耐熱品 |
| ASA | ★★★(難) | 高い | 高(〜100℃) | 2,500〜4,000円 | 屋外使用・UV耐性 |
| TPU | ★★☆(中) | 引裂き強 | 低〜中 | 2,500〜4,000円 | スマホケース・ルアー |
| Nylon | ★★★(難) | 非常に高い | 高い | 3,000〜5,000円 | 機械部品・高強度品 |
| PC | ★★★(難) | 最高クラス | 非常に高い | 4,000〜6,000円 | エンジニアリング用途 |
PLA — 最初の1択
3Dプリンター初心者には無条件でPLAを推奨します。印刷のしやすさ、コストパフォーマンス、仕上がりの美しさがバランスよく揃った素材です。植物由来(トウモロコシのデンプン等)の生分解性プラスチックで、印刷時の嫌な臭いも少ないです。
弱点は耐熱性の低さ。夏の車内(80℃超)に放置すると変形します。屋外での長期使用や熱がかかる用途には向きません。
PLA+ — PLAの強化版
同じ印刷しやすさを維持しながら衝撃強度を高めたグレードです。Bambu Lab Pure PLA、eSUN PLA+、Polymaker PolyMax PLAなどが代表的。PLA対比で衝撃強度が約1.5〜2倍になります。最初からPLA+を選ぶのも合理的な選択です。
PETG — 実用品の定番
食品容器にも使われるPETGは安全性が高く、強度も十分な優等生素材です。PLAより耐熱・耐衝撃に優れ、実用品を作るならまずPETGを検討してください。
欠点は糸引き(ストリング)が出やすいこと。リトラクション設定を丁寧に調整する必要があります。
ABS — 上級者向け
古くから使われる素材ですが、反り(ワーピング)が非常に起きやすく、温度管理が難しい。エンクロージャー(密閉チャンバー)があるプリンター(Bambu Lab P2S等)でないと安定した印刷は難しいです。
ABSが必要な耐熱用途には、印刷しやすいASAで代替できることが多いです。
ASA — 屋外最強素材
ABSの欠点(UV劣化)を改善した素材です。紫外線や雨風に強く、屋外での長期使用に最適です。庭のパーツ、車外装備、ドローンのフレーム等に向いています。印刷の難しさはABSと同等ですが、ABSよりも積極的に選ぶ価値があります。
TPU — 柔軟素材の王様
ゴムのような弾性を持ち、曲げても割れないのが最大の特徴です。スマートフォンケース、釣りのルアー、ラジコンタイヤ、靴底パーツ等に使われます。
柔らかいがゆえに送り出し(エクストルーダー)で詰まりやすいため、印刷速度を遅めに設定する必要があります。Bambu Labのような高速プリンターでも、TPUは低速モードで印刷するのが基本です。
Nylon / PC — 上級エンジニアリング素材
Nylon(ナイロン)は機械部品レベルの強度を持つ上級者向け素材です。吸湿性が非常に高いため、乾燥保管が必須。フィラメントドライヤーを使いながら印刷しないと品質が安定しません。
PC(ポリカーボネート)は最高クラスの強度・耐熱性を誇りますが、260〜300℃という高い印刷温度が必要で、対応プリンターが限られます。真剣に工業用途を考えている方向けです。
素材選びのフロー
まとめ
① PLA — まず最初の素材。印刷が一番楽
② PETG — 実用品を作りたくなったら次に試す
③ TPU — 柔軟パーツ(スマホケース・ルアー)専用